不朽の怪作「四丁目の夕日」の山野一が描くハッピーコミック「そせじ」(kindle版)応援サイト そせじ

山野一のこと

山野一のこと

山野一プロフィール
  • 1961年生まれ。立教大学文学部卒。
  • 1983年山野 一名義でガロデビュー。
  • 「貧困魔境伝ヒヤパカ」「混沌大陸パンゲア」「四丁目の夕日」等異色の単行本を発刊。
  • 1990年当時の伴侶ねこぢるのデビュー後は、裏方として制作に参加。
  • 1998年ねこぢる他界後はねこぢるy名義で「ねこぢるyうどん」「おばけアパート・前編」等を執筆。
  • 2006年再婚、2008年双子出生。

山野一インタビュー

なぜ育児漫画を書こうと思ったのですか?

私の昔の作風をご存じの方は奇異に思う方もいると思いますが、一言で言うと今の生活の多くが双子育児に占められてるからです。
なんの因果か47歳にして人の親となりました、しかも双子。同世代の友人のお子さんは、大学に受かったとか、就職したとか…そういう年齢です。
双子は妊娠中TTTSという一卵性双生児特有の珍しい病気にかかっており、難産の横綱と言っても過言ではありませんでした。どうにかこいつらを生かしてこの世に生み出すことで手一杯で、育児への心構えっていうか…なフンイキでした。
しかしゴールは無論そこではなく、生まれた子供はそんな事情は知っちゃいません。新生児は待ったなしです、容赦してはくれません。それがさらに倍…。一方経済的にも逼迫していたので、常に常に綱渡りな明け暮れです。自分探ししたりプティ鬱をボヤいたりしてる暇はもはや皆無でございます。否応なしに戸塚ヨットスクールばりの自己啓発を求められます。
俗に「子供が親を育てる」と言いますがその通りです。目の前の義務をただ淡々とこなす毎日は精神に変化をもたらします。過去や抽象的なもので占められていた頭が、具体的 現実的なものに書き換えられていきます。膝に子守ダコができ、体はへとへとでも不思議と心に清々しいものが生まれます。どう見ても父親に向いてない中年男が、それでもどうにかその責務をはたす中年男に変わっていくのです。それが漫画家という職業にいいのか悪いのか分かりませんが、とりもなおさずそれが今の自分です。
育児は大変ですが、てんてこまいしている自分や家族の姿を思い返してみると、漫画のネタがいくらでも転がっています。今しか描けないものだし、老い先短い身です。双子どもが大人になった時、自分達の成長の記録として読むかもしれないので、漫画にしてみました。

ミミ子とハナ子について聞かせてださい。

一卵性なので無論似た面も多いのですが、日々生活をともにする親は、自ずと差異に注目します。二人の個性にはかなり違いがあります。
長女…といっても帝王切開で単に先に取り出されたというだけですが、ミミ子の方は一言で言うと引っ込み思案です。一方次女ハナ子は人なつこく、大人でも子供でも知らない人とすぐにうちとけます。幼稚園に入園して、ハナ子はすぐたくさんの友達を作りましたが、ミミ子はいつも一人ポツネンとしてました。結局年少の一年間自分のクラスに友達と言える程のものはできず、どうにか話をできるのはハナ子経由で知り合ったハナ子のクラスの子達でした。ただミミ子には内弁慶なところがあり、家で双子がケンカしても決まって手を出すのはミミ子です。ハナ子は大らかな一方小姑みたいな一面があって、自分の優位性を一々念押しするような、いらんことを言います。そんな時ミミ子は終始黙っていて、いきなりパヂーンとたたくので、ハナ子は面食らって泣き出し、母親に告げ口に走ります。叱られてもミミ子はそっぽを向いたまま一言も弁明しません。やや粗暴ではありますが、竹を割ったような一面もあるのです。
これは双子の差異の一例ですが、器は同じでも全く違う魂が宿っておるなと日頃嫁と話しております。

世に育児漫画やエッセイはたくさんありますが、なにか思うところはありますか?それらのものと「そせじ」の違いを教えて下さい。

それほどそのジャンルの本を読んでいるわけではないのですが、双子を描いているものは少ないかもしれません。
作風で言うと、例えば育児雑誌のなんとかクラブやかんとかクラブに「そせじ」を持ち込んでも採用していただける気が全くしないので、そこが特徴といえば特徴かなと。
そういえばある日の夕方、双子が見あたらないので探しに行くと、とある路地で見知らぬお婆さんと仲良く草むしりをしてました。「こんにちは」と声をかけて近づくと、「なんですか?」とけげんな声を上げます。なにか子供達に危害を加えようと、不審者が近づいてきたと思ったようです。園芸用熊手を握りしめ、妙な動きすんな、一太刀浴びせてやるからなという気迫が目に宿ってます。まーロン毛で185センチの大男がニヤニヤしながら近づいて来るわけですからね、時節柄そう見えてもしかたありません。双子が笑いながら「お父さんだよ」と言ってもしばらくは、いや、そんなはずはなかろうと警戒モードが解けず、手がプルプルしてました。育児漫画やエッセイは本来女性が得意な分野なのでしょうが、そのような50男が描いてるってとこはかなり特殊と言えるでしょうか。

どんな読者に読んでいただきたいですか?

それはもう47都道府県民全員と言いたいところですが、まずは子育て中のお母さんお父さん、これから子供を持ちたいと思っている若い人達。はたまた昔の山野漫画を読んで心的外傷を負われた方々にもご一読いただければ嬉しいかなと。
一応フィクションとさせていただいており、ムダな部分を削いだり、また盛ったり。時間的に隔たったものをまとめたりと脚色編集しておりますが、すべて実際に起きたことをベースとしておりますので、子育ての参考になったり ならなかったり、また面白かったり 面白くなかったりいたします。
「そせじ①」「そせじ②」「そせじ③」各巻、全て421円、よんひゃくにじゅういちえん(税抜)でございます!

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