不定期連載
フェイバーWebディレクターによる
Webサイト制作・運用のお役立ちtips

UAサポート終了、
近づく。

GA4への移行前に知っておいた方が良いこと

Googleアナリティクスの現行バージョンであるユニバーサル アナリティクス (以下、UA)のサポートが2023年7月をもって終了となることがGoogleから発表され、後継サービスとして、Google Analytics 4(以下、GA4)が利用できるようになりました。
株式会社フェイバーのWebディレクターとして企業サイトのアクセス解析を数多くお手伝いしてきた佐藤幸一尾谷和美が、UA→GA4移行の概要や、移行の際に注意すべき点についてQ&A形式でお伝えします。

佐藤 幸一(さとう こういち)

Webディレクター歴22年。
プログラム製造やシステム開発を伴うWebサイト制作・運用案件、各種SNSを使ったキャンペーンサイトの構築・運用を得意とする。 CMS導入、活用支援に関しても数多くの経験、実績を持つ。

尾谷 和美(おたに かずみ)

Webディレクター歴20年。
ランディングページや小規模サイト制作から大型サイトの構築まで、業種や業界を問わず、多数の実績を持つ。Webサーバ周りについての知識や経験も豊富で、サーバ移管の案件も数多く手掛けている。

GA4の設置について

UAが来年2023年6月末をもってサービス終了となると聞いたのですが、6月で計測ができなくなるのでしょうか?また、7月以降は見られなくなるのでしょうか?
UAの計測機能は6月末で停止されます。
それまでにUAで計測した結果については、google社は、2023年中は見ることができると発表していますが、それ以降は見られなくなってしまう可能性があります。
計測結果を見られなくなってしまう前に、必要なデータはエクスポート機能を使ってCSVファイルなどの形で保存しておくのが良いでしょう。
UAの過去のデータをGA4に統合できますか?統合できればGA4に移行後も過去のデータを見ることができると思うのですが?
いいえ。UAで計測したデータをGA4に移行・統合することはできません。
既にUAが設置されている場合、GA4に自動的に変わると思っていて良いでしょうか?
いいえ。UAからGA4に自動的に変わることはありません。知識や管理者権限を持つ人が、GA4のプロパティを新規作成する必要があります。
GA4の設置は具体的にはどうすれば良いのですか?
GA4の管理画面内にあるプロパティの設定アシスタントからプロパティを新規に作り、発行されたグローバルサイトタグを計測したいサイトに貼り付けると計測できるようになります。

UAとGA4の
違いについて

UAとGA4では見た目や機能などにどのような違いがあるのでしょうか?
大きくは以下の3つが変わります。
①レポート画面の見た目や項目
②計測方法
③計測ポリシー
レポート画面の見た目や項目の変化のポイントと対応策を教えてください。
GA4上でUAにもあったボタンをクリックしようとすると違う名称になっていたり、思っていたものと異なるデータが表示されたりすることがあり、操作に当たって混乱する人もいるでしょう。
UAとGA4は同時に設置することができますので、まずは両方を設置し、GA4に完全に移行するまでにUAと比較して使用方法に慣れておくと良いと思います。
計測方法や計測ポリシーではどのような変化がありますか?
例えば、今まではユーザーがサイトに訪問してから離脱するまでをセッションとして計測していましたが、GA4ではそれに加えてユーザーの操作や行動をイベントとして計測するようになり、「ページビュー数」「スクロール率」「ファイルダウンロード数」といった、より詳細な計測ができるようになっています。
計測項目によっては設定や集計方法を再検討する必要もあります。
例えば、GA4では直帰率という概念がなくなった代わりに、滞在時間、2回以上見たか否か、CV(コンバージョン)などをエンゲージメントとして計測するようになりました。さらに1回の訪問で複数のCVを測ることができるようにもなっています。
結果として、直帰率を指標としていた場合はGA4上でエンゲージメントという指標に変更する必要があります。
UAとGA4の見た目や計測項目の違いなどさまざまな変化に慣れるためには、UAの集計結果とGA4の集計結果が両方見られるように、並行して運用する期間が必要になります。
GA4の導入については多くの相談や依頼を受けていると思いますが、導入に伴って知っておいた方が良い点や「失敗あるある」についてお聞かせください。

GA4導入時の
トラブルシューティング

  • CMSとの連携
  • PDFなどのHTMLファイル以外のアクセス数の計測
  • ドメインまたぎの流入についての計測
GA4を導入する際に、CMSとの連携には注意が必要です。一般的なCMSならあまり問題はありませんが、独自に作られたCMSを使ったWebサイトの場合、タグを入れられるかどうかなどを事前に調査しないとトラブルが起きる可能性があります。
(CMS:Contents Management System Webサイトのコンテンツを一元的に保存・管理するシステムのこと)
PDFなど、HTML以外のファイルへのアクセス数計測のための設定は慎重に行いたいですね。UAではPDFなどファイルごとのアクセス数を取りたい場合、計測タグだけではなくイベントトラッキングコードを仕込む必要がありましたが、GA4ではその仕様が変わり今までと違う設定方法になっています。
設定ミスがあると、それまで計測できていた重要なデータが取れなくなってしまうことも起こり得ますし、計測したデータの見方にも注意が必要です。
ドメインまたぎの流入の計測にも注意が必要です。例えばドメインオーナーがECサイトとオウンドメディアというように2つのサイトを持っていてどのページからどのような流入、遷移があったのかを計測したい場合、GA4では新たな設定方法になります。
キャンペーンサイトなどでSNSとの連携を行う場合、ソーシャルメディアによってはキャンペーンパラメータを事前に細かく設定しておかないと正しく計測されなかったり、また計測結果を後日分析しようとした際に非常に多くの手間が発生してしまったりすることがあります。予めきちんと仕様の確認を行っておくことが重要です。
リダイレクトも要注意です。301リダイレクトなら問題ないのですが、状況によっては計測タグを入れる順番や入れ方に注意しないと正しく計測されないこともあるので、htmlの内部設計や設定、動作確認がとても大事です。

まとめ

以上、UAからGA4への移行に当たって知っておいていただきたいことをまとめました。
文中で述べました通り、今後GA4でアクセス計測を行うに当たっては、UAとの比較や操作に慣れるという観点から、早めの導入がお勧めです。

株式会社フェイバーには経験豊富なディレクターが多く在籍しております。
GA4への移行や計測タグ設置に関するご相談、その他Webサイト制作・運用全般について弊社がお役に立てそうなことがございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。