不定期連載
フェイバーWebディレクターによる
Webサイト制作・運用のお役立ちtips

タグマネージャーで
Webサイトの管理を効率化

Webページはhtmlというマークアップ言語で記述されていますが、その中で「タグ」と呼ばれるものが使われています。
タグにはさまざまな種類がありますが、特にWebサイトのアクセス数を計測したり、バナー広告などをクリックしてWebサイトに訪問した人の数を集計したりするための「計測タグ(コンバージョンタグ)」は多くのWebサイトで利用されています。
今回はそのようなタグを効率的に管理・運用できるツールである「タグマネージャー」について、株式会社フェイバーのWebディレクター、佐藤幸一と尾谷和美が、その導入メリットや導入にふさわしいタイミング、導入時の注意点などについてQ&A形式でお伝えします。

佐藤 幸一(さとう こういち)

Webディレクター歴22年。
プログラム製造やシステム開発を伴うWebサイト制作・運用案件、各種SNSを使ったキャンペーンサイトの構築・運用を得意とする。 CMS導入、活用支援に関しても数多くの経験、実績を持つ。

尾谷 和美(おたに かずみ)

Webディレクター歴20年。
ランディングページや小規模サイト制作から大型サイトの構築まで、業種や業界を問わず、多数の実績を持つ。Webサーバ周りについての知識や経験も豊富で、サーバ移管の案件も数多く手掛けている。

タグにはどのような種類や役割があるのでしょうか?
タグにはWebページのデザインやレイアウトなどを決めるもの、ページ上にある特定の機能を持たせるもの、計測タグのようにWebページの効果を計るために組み込むものなどがあります。
特に計測タグについては「どのような計測結果を得たいのか?、それをどのように活用したいのか?」等、Webサイトの種類や運営する企業・団体などによって目的が異なります。
弊社が担当する場合にはまずはお客さまの希望や考え方、現状のWebサイトの確認からスタートし、必要な計測データを得るためにどこにどのようなタグを組み込むべきかを検討した後に実行プランを立てます。

タグマネージャーの
基本的な仕組み

タグマネージャーとは?
Webサイトに設置されているさまざまなタグを効率的に管理できる便利なシステムが、タグマネージャーです。例えばWebサイトのアクセス数を計測したい場合、以前はWebサイト上のすべての計測対象ページにそれぞれタグを組み込む必要がありましたが、タグマネージャーの登場によってタグの組み込み・設定変更等を一括で管理することが可能になりました。GoogleやYahoo!などからもタグマネージャーのサービスが提供されています。
タグマネージャーとはどのようなシステムなのでしょうか?
タグマネージャーには、タグを一元管理するための専用管理画面があります。Webサイト上で実行させたいタグをその管理画面から、組み込み・実行(発火)の設定ができる仕組みとなっており、HTMLファイルを編集(更新)することなく管理画面上から一元管理ができます。
少し極端な例えですが、1,000ページ以上ある大規模Webサイトに対してサイト全体のアクセス数を集計するタグを設置する場合、以前は全ページのHTMLにタグを組み込む必要がありました。また、そのタグを後日再設定したいとなった場合は、1,000ページ分のすべてのタグを入れ直す必要がありました。
しかしタグマネージャーを使えばそのWebサイト上の全てのページに対して、タグマネージャーの管理画面上からタグの設定を行い、変更することができます。
いくつか存在するタグマネージャーの中で、なぜ「Googleタグマネージャー」が主流となっているのでしょうか?
Googleの検索サービスは現在、世界で90%以上のシェアを持っています。日本ではYahoo!にも比較的多くの利用者がいますが、2022年9月、米Googleが今後、国ごとに検索サービスの最適化を行うと発表したこともあり、検索、インターネット広告の分野でGoogleが重要なポジションを占める状況に変わりのないものと思われます。
Googleタグマネージャーと前回紹介した「GoogleAnalytics4(GA4)」、そしてWebサイトに対するGoogle 検索結果でのサイトの掲載順位を監視、管理、改善するのに役立つ「Google Search Console」を合わせて使うことで、SEO効果も睨みながらWebサイトの管理を効率化できることが、多くのWebサイトでGoogleタグマネージャーが使われている理由です。

Googleタグマネージャーを
導入するメリット

Googleタグマネージャーでどの程度、管理作業を効率化できるのでしょうか?
前述の通り、タグを各ページ(ファイル)ごとに変更・追加・削除する必要がある場合、本来は「作業×ページ数」の工数が発生します。
Googleタグマネージャーを導入してタグを一元管理すればそのようなページの更新は必要なく、管理画面からの設定変更のみで作業は完了しますので、社内制作、外注先への委託いずれの場合でもコスト削減につながります。作業工数としてはデザイン、ページ制作などのクリエイティブ作業とも並行して行うことも可能なので、感覚的には半分以下の工数で実装できるイメージです。また、システム的に一元管理することで、ページごとに手作業で変更、更新を行った場合のミスやそれによる不具合発生のリスクを減らすことができます。
Googleタグマネージャーはどのように導入すればいいのでしょうか?
最初にアカウントを作り、次にタグの設定と、そのタグが作動するためのトリガーの設定を行います。ページが閲覧されたら作動する設定、ボタンがクリックされたら作動する設定、ページのスクロールで作動するなどのシンプルなものから、複雑なものまでさまざまなものがあります。
上記の導入プロセスを社内で行うのが難しい場合には、制作会社に設定やサポートを依頼するのも一つの手でしょう。
Googleタグマネージャー導入時の注意点はありますか?
タグの設定が正しく行われていない場合には、当然そのタグは実行されませんので、多くのページに不具合が発生してしまうことがあり得ます。そのため作業後は十分な確認が必要です。
また、設定には多少のコツが必要です。例えば複数のタグを設定した際はタグを入れる順番によっては正常に作動しないことがあります。「タグAが実行されないとタグBが作動しない設定」の場合、Aよりも先にBが実行されてしまうように入れていると正常に作動しませんので、どの順番でタグを実行させるかが重要になります。
また、提供元の異なる複数のタグを組み合わせる場合には、動作検証も重要です。
Googleタグマネージャーは様々なCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)にも導入できますが、無料のWebサイト作成サービスなどには導入できない場合もあります。

Googleタグマネージャーを
導入するタイミング

まだGoogleタグマネージャーを利用していない場合、どのようなタイミングで導入するのが良いのでしょうか?
ある程度大きなWebサイトの新規構築やリニューアルなど、HTMLファイルを大量に作成・更新する場合などは、それらの作業とタグマネージャーの導入が同時に効率よく行えるので良いタイミングと言えるでしょう。
新たにGoogleタグマネージャーを導入する場合はどうしても初期導入費が発生しますが、将来、タグの更新等が必要になった場合のことを考えると、タグマネージャー無しでWebサイトを構築する場合に比べ更新費用を抑えられる可能性が高くなります。
ユニバーサルアナリティクスからGoogleAnalytics4に変更するタイミングで、Googleタグマネージャーの導入を検討するのもおすすめです。GoogleAnalytics4は将来的に仕様が変更される可能性もゼロとは言い切れないので、その場合にもGoogleタグマネージャーを導入しておけば、タグの管理や更新を効率化できると思います。

まとめ

Webサイト管理の効率化や費用の低減など、メリットが大きいGoogleタグマネージャー。Webサイトのリニューアルやコンテンツの追加を行う際には導入を検討してみましょう。

株式会社フェイバーには経験豊富なディレクターが多く在籍しております。
Googleタグマネージャーの導入や設定に関するご相談、その他Webサイト制作・運用全般について弊社がお役に立てそうなことがございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。