社員インタビュー

後藤 沙綾 GOTO SAYA アシスタントスタッフ

後藤 沙綾GOTO SAYAアシスタントスタッフ

模索の日々を支えるのは、自由で柔軟な空気感。

スタッフへのインタビューのために用意されたスペースは、favorのオフィスから道を隔ててすぐ。落ち着いたビルの3階の一画を占める「ぎんけいさろん&ギャラリー」だった。favorが運営する、展覧会やトークショーの会場となる空間で、スタッフに聞くと訪ねた日は新しい展覧会が幕を開ける前日。壁には展示される作品が、すでに整然と並べられている。そんな中で後藤沙綾は、家族の一人と一緒に取材が始まるのを待っていた。その家族とは、今年(2015年)生まれたばかりの長男・一路くんである。

「最初の子どもを授かったばかりで、まだいろいろなことが手探りの状態なんです」
 後藤が言う“いろいろなこと”というのは、子育ての仕方ばかりではない。現在は1年間の産休中だが、その休みが明けたときに仕事と子育てのバランスをどう取ったらいいのか。言い換えれば、これからの人生をどう形作っていけばいいのかという問題。それを考える材料を探そうにも未経験のことばかりで、なかなか先を見通すことができないのだろう。「子どもの成長を間近で見ていたいというのはありますし、であれば在宅で仕事ができればそれがいちばんいいのかなとも思うんですけど、でも仕事もまだわからないことばかりですからね。教えてもらうには、会社に来ていたほうが環境としてはいいし」
 もっとも、そんな迷いの中にあっても、後藤は楽しげだし、そして余裕を持っているように見える。
「そうですか? いや、余裕があると自分では思っていないですけど、ただこの会社でよかったなとは思います。自由というか柔軟というか、その人の都合や希望を受け入れてくれるところがあるし、そして社内に相談できる人がたくさんいますから」

この“相談できる”というフレーズは、後藤がfavorを語るときに、よく顔を出す。テレビなどの映像の制作会社から転職して4年弱。アシスタント的な役回りが多かった後藤だが、サイトの更新や修正、ニュースレターの配信といった作業に際してクライアントから直接注文を受けることも、産休前には少なくはなかった。
「それでもうちのいいところは、例えばデザイナーとの距離感がすごく近いこと。だからクライアントに“こんなことできる?”と尋ねられても、社内のスタッフにその場で相談して“こういう形でならできる”とすぐに答えを出せるんです。だから余分なプレッシャーやストレスを感じることが少ないんですよね」
相談できる人々が身近にいる。その安心感がもたらすプラスは大きい。そしてプライベートの面では後藤が余裕を持てるのには、おそらくもう一つの理由が。それがほかならぬ一路くんだ。この赤ちゃん、取材中もまったくぐずったり泣き出したりしないのだ。泰然自若というか、赤ちゃんにしてすでに人物ができている! そうした心強い味方に囲まれて、後藤は自分の人生のあるべき姿を、焦ることなく見つけ出そうとしている。

(取材・文 /星野 智之)

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