社員インタビュー
遠藤 浩二ENDO KOJIセマンティック代表取締役
アートディレクター
株式会社セマンティックはfavorグループの中にあって、とりわけ“デザイン”に専門性を発揮するユニット。その意味ではスタッフも、デザイナーやクリエイターであることに自らのアイデンティティーを求めようとする志向が強い。10年にわたってセマンティックを率いてきた代表取締役の遠藤浩二も、その例に洩れない。そのポジションから営業職的な業務の比重も自然と高くなるが、それでも語る言葉にはいわば“クリエイター気質”ともいうべきものがにじむ。例えば「自分の生活全体を10割として、仕事が占める割合は何割?」という質問に対して、少しだけ黙考した後に発した言葉が、これ。「10割じゃないですか」。
現在の仕事が好きでなければ、まず出てこない答えだと思う。遠藤はそれを、何のてらいもなく、ごく自然体で口にする。こんな境地に、いつから至れたのだろう?
「いや、逆に若いころはもっと夢中で仕事をしていたと思います。夢中になれる要素が、この仕事にはあるんですよね。どんなに頑張って仕上げて納品しても、『あそこはこうしたほうがよかったかな』と思う部分があとから出てくる。完全燃焼することはなくて、必ず燃え残る部分があるんですよね。だから終わりがない。終わりがないから夢中になれるんです」
“終わりがない”。その意味ではサイト制作は、建築に似ている気がすると遠藤は言う。
「家だって、完成したらそれで終わりってものではないですよね。その後に、そこに人が住むのであって、住んでいるうちに不便な点が見つかれば、そこを直すことまでが本当の仕事でしょう。そういう仕事を謙虚に、誠実にできる人間でありたいと思うし、セマンティックにはそういう人に来てほしいですね。だいたいそういう精神性というのは、仕事にどうしたって表れてきてしまうものなんです」
そう、思えばクリエイターとは“クリエイティブな(ものに見える)仕事をしている人”を指す言葉ではない。自分の仕事に夢中になれる人であれば、だれでもがこう呼ばれる資質があるのだ。決して言い過ぎではない。少なくともセマンティックにおいては。
(取材・文 /星野 智之)