社員インタビュー
屋冨祖 秀樹YAFUSO HIDEKI株式会社パットウェブ取締役
このfavorスタッフへのインタビューで取り上げた中でも、ディレクターの樋口宏美と大城玲央の二人はいずれも沖縄県の出身。パットウェブに採用された後にfavorへと転籍している。この例からもわかる通り、favorの子会社である株式会社パットウェブはfavorにとって、極めて重要な存在だ。ある場合には、そこは樋口や大城のような有為な人材を供給する役割を果たし、また別の面から見れば、東京のオフィスよりもランニングコストを抑えながら制作能力のキャパシティーを確保する場ともなる。favorのグループとしての像を俯瞰すれば、東京と那覇という二つの都市の間で人材と仕事が効率的に循環する、一つの大きなサーキットを形成しているのだ。
「私自身はパットウェブが東京につながっているからという感覚はなく、地元の沖縄で勤められる会社を求人誌で探しているうちに、この会社と出会っただけなんですけど」
そうして県内での営業など地道な仕事をこなしていく中で、その仕事ぶりが周囲の信頼を集め、那覇のオフィスをまとめる存在に抜擢される。「特別なことをしてきたわけではないですし、これから特別なことをしようとも思ってはいません。ただ働きがいがある職場環境は整えていくようにしたい。東京に出て仕事がしたいというスタッフには、その機会をできるだけ見つけてあげたいと思います。ただそれと同時に、パットウェブはfavorを下支えするだけの会社というわけではない。沖縄県内の会社がクライアントになった、パットウェブ独自の仕事の比重も高いですし、そこはこれからも伸ばしていきたいですね」
そう、favorとパットウェブはあくまで、水平的に位置する二つの極だ。そこに段差が生じては、スムーズな循環を維持することは難しくなるだろう。思えば那覇も銀座も、別にユートピアではないのだ。しかしそれぞれの場所にあるオフィスがそれぞれのやり方で仕事を充実させていけば、お互いが“夢の場所”にもなり得る。
喩えれば、それは磁石のSとNのようなものかもしれない。二つの極がうまく作用し機能すれば、そこにfavorグループという独特の磁場が形成され、浮揚力を得ることもできる。屋冨祖はその一方の極を握っている。
「でもだからといって特別なことをするのではなく、地道に誠実に続けていくだけですけどね」
いや、それこそが間違えなく、パットウェブの真価なのだ。
(取材・文 /星野 智之)